音楽劇『瀧廉太郎とその友人、と知人とその他の諸々』出演者全員での稽古が始まりました!
これから稽古写真と共に、"たきとも"の世界を彩る時代背景や登場人物について、数回に渡り解説していきます。
まず今回は、お話の舞台となる【明治時代の渡航】について。
時代は1900年。今から124年前のドイツが舞台。
そこに日本人6人が集っている。そんなお芝居です。今なら旅行会社のお店に海外旅行や留学のパンフレットが並び、飛行機でビュー!と。12時間くらいかけてヨーロッパに着きます。
しかし、瀧廉太郎たちが欧州留学した頃に飛行機があるはずもなく、彼らは船で渡航をします。舞台中、大久保祥太郎さん演じる岡野貞一が船旅の辛さを嘆きますがオーバーでは無く、1ヵ月以上かけた長~い旅でした。
【船の大きさって?】
当時の客船は、文献を見ると6000t程度の船と言われています。
有名な客船「クイーンエリザベス」は9万t。横浜の山下公園に係留されている「氷川丸」は12000tとのことですから、どれだけの大きさか推し量ることができますね。
【乗客数と費用は?】
「貨客船」だったため、一等客室は24名、二等客室は20名、三等客室は116名と少なめ。
今の飛行機よりも少ないお客様しか乗せていませんでした。もちろん海外渡航が盛んではなかった時代ですから十分だったのでしょう。
ちなみに渡航料金は往復で一等料金は900円程度、二等で600円、二等で360円。
当時の教員の初任給が11円だったという時代だったようですから、どれだけヨーロッパ留学が憧れであり、夢であったか。まだ日本が裕福な国では無かった時代です。国費留学生がどれだけの責任を帯びて留学していたか推測できます。
瀧廉太郎が何故そこまで国から怒りを買ったのか、幸田幸がフクを連れて留学できたのはどれだけ恵まれていたか、岡野がどれだけドイツへの渡航が嬉しかったか、基吉がどれだけ必死にフクを追ってきたのかを想像しながらご観劇いただくと、また面白いかもしれません。
音楽劇『瀧廉太郎とその友人、と知人とその他の諸々』
2024年5月2日(木)〜4日(土)
下北沢・北沢タウンホール